モルモットの乳腺腫瘍について

近年モルモットをペットとして飼育している方も多いですが、モルモットも様々な病気にかかることがあります。
その中でもモルモットの乳腺腫瘍はオスに発生しやすい腫瘍の一つです。
今回はモルモットの乳腺腫瘍について症例をまじえてご紹介します。
モルモットを飼っている方はぜひ最後まで記事を読んで、乳腺腫瘍についての理解を深めましょう。

モルモットの乳腺腫瘍とは

乳腺腫瘍は乳頭の周りにある乳腺にできる腫瘍のことです。
体のほかの部分に腫瘍が移ってしまう転移などを起こす悪性腫瘍と、できものが大きくなるだけのことが多い良性腫瘍の2種類があります。
モルモットの乳腺腫瘍は中年から高齢のオスに多く発生します。
一般的にはどの動物でもメスでの発生がほとんどですが、モルモットではオスの発生が多いと言われています。

モルモットの乳腺腫瘍はどんな症状がでるの?

モルモットの乳腺腫瘍では、乳腺にしこりが出来ます。
腫瘍が小さいうちは目立った症状が出ることはありません。
しこりが大きくなってくると

  • 痛みが出る
  • しこりが潰れて出血する
  • しこりから膿が出る
  • 食欲不振
  • 体重減少

などの症状が出てくることがあります。
早期に発見することが重症化を防ぐので、乳腺に何かあるなと思ったら早めに動物病院に相談しましょう。

モルモットの乳腺腫瘍の原因は?

乳腺腫瘍は、犬や猫では未避妊のメスでよく見られるため避妊手術をすることで発生が少なくなります。
ですがモルモットは、オスでも乳腺腫瘍が多いため乳腺腫瘍の発生原因がはっきりしておらず、確実な予防方法はありません。
日頃から体をよく触るようにするなど、早期発見ができるようにしておきましょう。

モルモットの乳腺腫瘍はどうやって治療するの?

モルモットの乳腺腫瘍は、外科的に手術で腫瘍をとってしまうことが一番の治療方法です。
全身麻酔をかけて手術を行う必要があります。
モルモットは犬や猫と比べると体も小さく、麻酔のリスクは高くなってしまいます。
手術自体も体が小さく、経験のある獣医師による技術が必要です。

実際の症例

4歳3ヶ月のオスのモルモットが「左乳腺にできものが出来た」とのことで来院されました。
診察の結果、左の乳腺にできものがあることが確認できました。
乳腺腫瘍の可能性があり、悪性であっても良性であっても手術が必要な状態と判断。
飼い主様とご相談の上、手術を実施し乳腺腫瘍の摘出を行いました。
実際の手術後の写真です。

次の写真は、モルモットの左乳腺から切り取った乳腺腫瘍です。

手術後は元気食欲も問題なく、傷を気にする様子もありませんでした。
抜糸時の写真がこちらです。

抜糸時には傷も綺麗に治り、腫瘍の再発も見られていません。
毛も生えそろっていて、手術した部分も目立たなくなっていますね。

まとめ

モルモットの乳腺腫瘍は、オスに出来やすい乳腺の腫瘍です。
放置してしまうと腫瘍が大きくなってしまうだけではなく、モルモットの全身状態が悪くなることもあります。
治療には外科的な手術が必要になりますので、早めにご来院ください。
当院では、モルモットを含む小動物診療の経験豊富な獣医師が治療を行っています。
乳腺腫瘍だけではなく、モルモットの体に何か気になることがあればぜひ当院にご相談ください。

執筆担当:院長 渦巻浩輔

この記事を書いた人

渦巻浩輔

日本大学 生物資源科学部獣医学科卒業。どんな些細なことでも話しやすい獣医師でありたいと思っております。少しの変化や気になることなど、なんでもご相談ください。