犬のクッシング症候群による脱毛について
「愛犬がクッシング症候群と言われた」
「体の毛が抜けてしまってかわいそう」
「抜けてしまった毛はまた生えてくるのかな?」
このように思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
犬のクッシング症候群は、副腎皮質機能亢進症とも呼ばれ、副腎からホルモンが過剰に分泌される病気のことです。
犬のクッシング症候群の症状はさまざまですが、代表的なものの一つに脱毛があります。
今回は犬のクッシング症候群による脱毛について、実際の症例を交えながら解説していきます。
愛犬のクッシング症候群による脱毛にお困りの方は、ぜひ最後までお読みいただき、ご参考にしていただければ幸いです。
犬のクッシング症候群とは
犬のクッシング症候群とは、副腎皮質からコルチゾールというホルモンが過剰に分泌される病気です。
8歳以上の中高齢の犬に発生しやすいです。
犬のクッシング症候群の症状
クッシング症候群の犬では、
- 左右対称の脱毛
- 皮膚の菲薄化・石灰化
- 多飲
- 多尿
- 食欲旺盛
といった症状が見られます。
左右対称の脱毛は、クッシング症候群などホルモンの病気に見られる特徴的な症状です。
脱毛のほか、水をたくさん飲むようになったり、尿を大量にするようになったことがきっかけで来院される方も多いですね。
クッシング症候群を治療せずに病気が進行してしまうと、
- 筋肉量の低下
- 肝臓の腫大
- 皮膚の感染症の併発
などを起こすことがあり、注意が必要です。
愛犬の脱毛や飲水量など、気になることがある場合には、早めに受診してあげてください。
犬のクッシング症候群の原因
犬のクッシング症候群の原因には、
- 下垂体腫瘍
- 副腎腫瘍
- ステロイドの長期使用
が挙げられます。
それぞれについて解説します。
下垂体腫瘍
下垂体には、副腎に対してコルチゾールの分泌を促す役割があります。
下垂体に腫瘍ができると、コルチゾールの分泌を過剰に促してしまうため、クッシング症候群になることがあります。
副腎腫瘍
副腎に腫瘍ができると、下垂体からの指令を無視して、コルチゾールを分泌し続けてしまうことがあります。
指令を無視することで、コルチゾールが常に過剰となり、クッシング症候群を引き起こします。
ステロイドの長期使用
ステロイドは、コルチゾールに似た作用の成分を人工的に配合した薬です。
長期にわたりステロイドを使用していると、人工的にコルチゾール過剰の状態を作ってしまい、クッシング症候群を引き起こします。
しかし、犬アトピー性皮膚炎や慢性腸症など、ステロイドの長期使用が基本となる病気も多いですよね。
ステロイドを使用するときには、量や回数について獣医師と相談しながら服薬することが重要です。
犬のクッシング症候群の治療
犬のクッシング症候群の治療は、病気の原因によって異なります。
ステロイドの長期使用が原因のときには、段階的に減薬していくのが有効です。
下垂体や副腎の腫瘍が原因のときには、薬物療法と外科手術があります。
それぞれの治療方法について、詳しく解説します。
薬物療法
クッシング症候群の原因が下垂体や副腎の腫瘍であるときには、トリロスタンという薬を内服するのが一般的です。
トリロスタンはコルチゾールの合成を抑える作用があり、クッシング症候群のコントロールに有効です。
外科手術
クッシング症候群の原因が副腎の良性腫瘍であるときには、外科手術により腫瘍の切除をすることがあります。
腫瘍を完全に切除できた場合には、クッシング症候群の完治も期待できます。
実際の症例
ここからは実際の症例をご紹介します。
症例は、17歳のダックスフンドです。
背中の脱毛が主訴で来院されました。
画像は実際の症例の写真です。
背中から脇腹にかけて脱毛が見られます。
また、皮膚の石灰化も認められ、白いかさぶたのようなものが点在しています。

検査により、クッシング症候群であることがわかったため、トリロスタンによる治療を開始しました。


トリロスタンの使用により、クッシング症候群のコントロールを行うことができ、脱毛部位には無事毛が生えそろいました。
まとめ
いかがでしたか?
犬の脱毛と言うと、皮膚の病気を想像される方も多いものです。
しかし、脱毛の原因にはクッシング症候群などホルモンの病気が隠れていることもあります。
クッシング症候群は進行すると、体にさまざまな悪影響を及ぼす病気です。
犬の脱毛を見つけたら、早めに動物病院を受診しましょう。
当院では、ホルモンの病気を扱う内分泌科についても力を入れております。
犬の脱毛やクッシング症候群のことでご相談がある方は、お気軽に当院までご連絡ください。
執筆担当:院長 渦巻浩輔