フェレットの副腎疾患による脱毛について
「最近、フェレットの腰からしっぽにかけて毛が薄くなってきた」
「元気はあるのに、見た目だけがどんどん変わっていく…」
フェレットでこのような腰部尾側から始まる脱毛が見られた場合、副腎疾患という病気の可能性があります。
今回は実際に副腎疾患により脱毛したフェレットをリュープリンという注射薬で治療した症例をもとに、フェレットの副腎疾患による脱毛について解説いたします。
ぜひ最後まで読んでいただき、大事なフェレットに脱毛がみられたときに参考にしていただければ幸いです。

フェレットの副腎疾患について
副腎という臓器はあまり聞き馴染みがないかもしれませんね。
副腎とは腎臓の近くにある2ー4mm程度の小さな臓器です。
副腎の役割は血圧や血糖値といった生命維持に関わるホルモンに加え、性ホルモンを分泌します。
性ホルモンとはいわゆる男性ホルモン、女性ホルモンのことですね。
フェレットの副腎疾患は副腎が腫大し、主に性ホルモンを過剰に分泌する病気です。
性ホルモンの過剰分泌によりフェレットは脱毛をはじめとした体に変化が現れます。
フェレットの副腎疾患の原因
フェレットの副腎疾患は比較的発症率の高い病気として知られています。
その背景には以下のような要因が関与していると考えられています。
- 早期去勢・避妊によるホルモン環境の変化
- 室内飼育による日照時間の影響
- 遺伝的要因
特にフェレットの副腎疾患は去勢・避妊済みのフェレットで多いです。
3歳前後の比較的若い年齢のフェレットに副腎疾患が見つかることも珍しくありません。
フェレットの副腎疾患のサイン
フェレットの副腎疾患では特徴的な脱毛と性ホルモンに関連した変化がみられます。
腰部尾側から起こる脱毛は最も特徴的なフェレットの副腎疾患のサインです。
左右対称に毛が抜け、皮膚は比較的きれいなままのことが多く見られます。
脱毛している皮膚はかゆみや赤みが少ないことも多いです。
性ホルモンに関連した変化はフェレットの性別によって異なります。
雌のフェレットでは外陰部の腫大がみられます。
雄のフェレットにみられる変化は以下のものです。
- 雄における攻撃性の変化
- 雄における性行動の増加
- 前立腺肥大を伴う排尿障害
フェレットの副腎疾患は上記の症状と超音波検査で副腎腫大の確認を併せて診断されます。
フェレットの副腎疾患の治療
フェレットの副腎疾患は内科治療と外科治療に分けられます。
それぞれの治療法について説明していきます。
内科治療(ホルモン療法)
内科療法とはホルモン分泌を抑える注射により症状をコントロールする方法です。
注射での治療は侵襲が少なく症状改善が期待できるため、選択されることが多い治療法です。
月に1回程度の定期的な注射が必要になります。
外科治療(副腎摘出)
外科療法では腫大した副腎を摘出し、根治を目指す治療です。
右副腎は後大静脈という大きな静脈に近く、手術リスクが高くなることがあります。
実際の症例
今回紹介する症例は3歳のフェレットです。
腰の毛が徐々に抜けてきたとのことで来院されました。
脱毛の様子は以下です。

腰部から尾にかけて左右対称の脱毛が確認されました。
皮膚に赤みや強いかゆみはなく、全身状態は良好でした。
脱毛の分布と症状から副腎疾患が疑われたため、超音波検査が行われました。
こちらが超音波検査画像です。


超音波検査から右副腎の腫大が確認されました。
副腎の腫大と脱毛症状からフェレットの副腎疾患と診断しました。
以下の検査結果にもとづき飼い主様と相談し、内科治療としてリュープリンというホルモン分泌を抑える注射を打ちました。
治療開始から3ヶ月後の皮膚の様子です。

リュープリン注射により発毛が確認されました。
以降も月1回のリュープリン注射により良好な皮膚状態を維持しています。
まとめ
フェレットの副腎疾患は、副腎の腫大により性ホルモンの過剰分泌を引き起こす病気です。
副腎疾患は腰部尾側の脱毛という分かりやすい変化から始まることが多いです。
今回の症例のようにフェレットの副腎疾患は適切な治療を行うことで、症状の改善が期待できます。
当院は副腎疾患をはじめとしたフェレットさんの診察に力を入れています。
「腰の毛が抜けてきた」「攻撃的な性格になってきた」などいつもと違う様子がみられたら、気軽に当院にお越しください。
執筆担当:院長 渦巻浩輔