モルモットの膀胱結石について

「最近モルモットのおしっこの色が変わった気がする」
「何度もトイレに行くのはなんでだろう」
「トイレで痛そうに鳴くけど大丈夫かな」
などと思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
上記のような場合、モルモットの膀胱に結石があるかもしれません。

今回はモルモットの膀胱結石について実際の症例を交えながら解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、膀胱結石の予防策をご家庭でも取り入れてみてください。

膀胱結石とは

膀胱結石とは、モルモットの膀胱内でカルシウムが結晶化してできる石状の塊です。
モルモットはカルシウムを含む草や野菜を食べるため、通常でも尿からカルシウムを排出しています。
しかしカルシウムの摂取量が過剰になると、尿中のカルシウムも増えて結石を作ってしまいます。
特にカルシウムを多く含むものは、

  • アルファルファ牧草
  • 小松菜
  • パセリ

などがあり、モルモットの食事としてメジャーなものばかりです。
モルモットが草を食べる様子はとても可愛らしいものですが、与える草の種類や量には注意しましょう。

膀胱結石の症状

膀胱結石の症状として代表的なものは頻尿と血尿です。
排尿痛や下腹部痛を伴う場合には、

  • 排尿時の悲鳴
  • 食欲の低下
  • 歯ぎしり

などもみられることがあります。
膀胱結石は尿道に詰まると完全に尿が出なくなり、

  • 膀胱破裂
  • 急性腎不全

といった命に関わる危険もあります。
モルモットの尿の様子に異変を感じたら、すぐに動物病院を受診してください。

膀胱結石の検査

膀胱結石の検査には、

  • 尿検査
  • エコー検査
  • レントゲン検査

があります。
尿検査では結晶(結石の前段階)の有無や、細菌に感染していないかを調べます。
可能であればご自宅でモルモットの尿を採取し、受診のときにご持参ください。

エコー検査とレントゲン検査では結石の位置や大きさを確認します。
腎臓の障害の程度もエコーを用いて観察することが可能です。

膀胱結石の治療

モルモットの結石は治療で溶かすことが難しいため、開腹による摘出手術が基本です。
全身麻酔下で開腹し、膀胱内の結石を取り出します。
ただし結石がとても小さい場合や、尿道にあるが排尿が可能な場合には、抗炎症剤を使用しながら自然排出を待つこともあります。
結石が小さいうちに早めに治療を開始することが重要です。

膀胱結石の予防

膀胱結石の手術となった場合、モルモットの体へも負担がかかってしまいます。
モルモットの小さな体に手術を受けさせるのは心配ですよね。
普段から膀胱結石の予防を心がけることをおすすめします。
結石を予防するには食事や生活環境の見直しが有効です。

食事

高カルシウムの食べ物は避けるか少量にとどめ、カルシウムの少ないものを与えます。
カルシウムが少ない草や野菜には、

  • チモシー
  • ブロッコリー
  • パプリカ
  • トマト

などがあります。
栄養バランスを良くするには、上記とモルモット用ペレットの併用がおすすめです。

生活環境

水分不足や細菌感染も膀胱結石の一因となります。
モルモットが飲みやすい水飲み器を用意し、いつでも新鮮な水を飲めるようにしましょう。
トイレをこまめに掃除して清潔に保つのも良いですね。

実際の症例

ここからは実際の症例をご紹介します。
症例は3歳のモルモットです。
血尿と排尿痛があり、他院にて膀胱結石を指摘され、お薬で治療していたが治らないとのことで来院されました。
レントゲンの撮影をしたところ膀胱内に結石を確認しました。
かかりつけの病院では手術ができないとのことで、当院での手術依頼となりました。
画像は実際のレントゲン写真です。

全身麻酔下での手術を行い、無事膀胱から結石を摘出することができました。
これが摘出した膀胱結石です。

膀胱結石の摘出後、膀胱と開腹部位の縫合を行いました。

手術後は速やかに覚醒し、元気に草を食べる様子が見られました。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
モルモットの膀胱結石は比較的よく見られ、飼い主様にぜひ知っておいていただきたい病気の1つです。
今回ご紹介した予防策を取り入れていただき、もしもの場合にはすぐに動物病院にかかりましょう。

当院ではモルモットの診察や手術も積極的に行なっております。
モルモットの尿について気になることがある場合には早めに当院までご相談ください。

執筆担当:院長 渦巻浩輔

この記事を書いた人

渦巻浩輔

日本大学 生物資源科学部獣医学科卒業。どんな些細なことでも話しやすい獣医師でありたいと思っております。少しの変化や気になることなど、なんでもご相談ください。