猫のコクシジウム症について

コクシジウム症とは消化管に寄生する寄生虫の一種で、下痢を主とする消化器疾患を引き起こす可能性があります。
このコクシジウム症は犬にもありますが、猫のコクシジウム症が犬に感染することはありません。
感染経路は経口感染であり、主に離乳直後くらいの仔猫で下痢などの症状を出すことが多く、ある程度成長した猫では感染はしているが、症状を出さないことが多いです。

今回は偶発的に発見したコクシジウム症の猫ちゃんの紹介になります。

猫のコクシジウム症の症例

症例は1歳4ヶ月の猫ちゃんで、くしゃみを主訴に来院しました。元々は保護猫で、シェルターである程度の駆虫などは完了していました。

健康診断を兼ねて便検査を実施したところ、コクシジウムの虫卵が確認されました。
本症例は特に消化器症状はありませんでした。

飼い主様と話し、駆虫を希望されたため、駆虫薬を処方しました。

コクシジウムの虫卵です。

2週間後の診察時にはコクシジウムの虫卵は便検査では確認されず、無事駆虫を完了することができました。

一昔前では、コクシジウム症はなかなかしぶとく、駆虫に難儀することもありましたが、獣医療も日進月歩で、最近は新しい薬なども出てきており、そこまで難儀することはありません。
当院ではワクチン接種時に無料で便検査を実施しております。

症状が無くても、寄生虫がいて良いことはありませんので、ワクチンや健康診断の際には一度で良いので、便検査を実施することをお勧め致します。

執筆担当:院長 渦巻浩輔

この記事を書いた人

渦巻浩輔

2013年大学卒業後、埼玉県坂戸市のブン動物病院で4年間の勤務医を務め、犬や猫、エキゾチックアニマルの診療に携わる。2016年からは東京都の小滝橋動物病院グループに勤務し、CTやMRI、心臓外科、脳神経外科を始めとした高度医療施設に身を置き、2019年からは同動物病院グループの市ヶ谷動物医療センターにてセンター長を務める。高度医療に携わりながら地域の中核病院として診療を行なった。2022年11月、東京都板橋区赤塚に成増どうぶつ病院を開院する。日本獣医循環器学会・日本獣医麻酔外科学会・獣医アトピー・アレルギー・免疫学会・日本獣医エキゾチック動物学会所属。特に循環器・呼吸器の診療を専門とし、心臓病についてのセミナー講師も行っている。