モルモットの血尿について

モルモットの血尿は色々な原因によって発生しますが、発生頻度が多いのは、卵巣子宮疾患・泌尿器疾患になります。
雌の場合、卵巣嚢胞の発生頻度が高く、子宮疾患も併発し血尿を呈することも多く、また、膀胱炎や膀胱結石でも血尿を呈します。

今回、膀胱結石と卵巣嚢胞があり、血尿を呈したモルモットさんのご紹介です。

モルモットの血尿の症例

症例は3歳8ヶ月のモルモットさんで血尿と排尿痛による食欲不振を主訴に来院しました。
排尿時にとても痛そうに鳴いてしまうとのことでした。

レントゲン検査・超音波検査で膀胱結石と左右の卵巣に卵巣嚢胞がありました。

レントゲン検査:青矢印の白い丸いものが膀胱結石

今回の検査では、血尿の原因は膀胱結石の可能性が高いため、手術による膀胱結石の摘出と子宮卵巣疾患の否定のために子宮卵巣摘出術を同時に実施しました。
気をつけなければならないのが、モルモットの子宮卵巣摘出は他の動物に比べて手術の難易度が高いことが挙げられます。

今回の手術も難しい手術でしたが、なんとか無事に膀胱結石の摘出と子宮卵巣摘出術を終わらせることができました。

摘出した膀胱結石
摘出した子宮卵巣。手術中に内容物を吸引して小さくなっていますが、卵巣嚢胞が認められています。

退院後は排尿痛も無くなり、食欲も復活し元気になってくれました!

飼い主様の腕の中で元気なモルモットさん。

モルモットさんの血尿は泌尿器疾患と生殖器疾患の鑑別が大事になります。
また、膀胱結石は再発することもあるので食餌に関してもケアが大事になってきます。

もし、モルモットさんで血尿がある・排尿時に痛そうなどあれば、動物病院にご相談ください。

執筆担当:院長 渦巻浩輔

この記事を書いた人

渦巻浩輔

2013年大学卒業後、埼玉県坂戸市のブン動物病院で4年間の勤務医を務め、犬や猫、エキゾチックアニマルの診療に携わる。2016年からは東京都の小滝橋動物病院グループに勤務し、CTやMRI、心臓外科、脳神経外科を始めとした高度医療施設に身を置き、2019年からは同動物病院グループの市ヶ谷動物医療センターにてセンター長を務める。高度医療に携わりながら地域の中核病院として診療を行なった。2022年11月、東京都板橋区赤塚に成増どうぶつ病院を開院する。日本獣医循環器学会・日本獣医麻酔外科学会・獣医アトピー・アレルギー・免疫学会・日本獣医エキゾチック動物学会所属。特に循環器・呼吸器の診療を専門とし、心臓病についてのセミナー講師も行っている。