犬の爪床メラノーマについて

ワンちゃんの飼い主様は愛犬の爪切りをしていて
「なんだか変な形をしているなぁ」
と思うことはありませんか?
今回はそういった気づきから爪床メラノーマ(悪性黒色腫)という病気を発見し、治療に至った症例をご紹介します。

犬の爪床メラノーマは、爪の付け根で発生する悪性腫瘍です。
メラノーマはメラノサイトと呼ばれる細胞から発生し、通常は黒色素を含むため、爪が黒く変色することがあります。
この病気は痛みや不快感を引き起こすことがあり、早期発見・早期治療が重要です。

爪床メラノーマに対して断指手術を行った症例

今回ご紹介する症例は12歳の雑種犬で、飼い主様が爪の変形に気付いて診察に来院しました。

以上の所見と注射針による細胞診を行なった結果、爪床メラノーマが疑われたため、手術が必要と診断しました。

ここからは手術の画像が表示されます。
苦手な方はご注意ください。

レントゲン検査では軽度の指の変形が認められました。

今回の手術は完全切除を目指すために断指術を行うことにしました。
今回の症例は心臓に病気を抱えていて、慎重な麻酔が必要でしたが、安全に麻酔をかけることができ、痛みをあまり感じることなく手術を受けることができました。

手術中の写真。断指後の傷を縫合しています。
手術後の写真です。傷も綺麗になり、歩行にも問題ありません。

手術後、病理組織検査が行われ、爪床メラノーマと確定診断され、全ての腫瘍が取り除かれたことが確認されました。
その後退院したあとは、今では元気いっぱいに過ごしています。

爪床メラノーマは放置すると重大なリスクが伴います。
腫瘍が進行すると、周囲の組織に広がり、他の臓器にも影響を及ぼす可能性があります。
また、痛みや不快感を引き起こすことから、ワンちゃんの生活の質が低下する可能性が高まります。
今回の症例のように早期に診断治療を行うためには、ワンちゃんのご家庭での観察が重要です。
もし、飼っている動物の指に違和感を感じることがありましたら、動物病院にご相談ください。

執筆担当:院長 渦巻浩輔

この記事を書いた人

渦巻浩輔

2013年大学卒業後、埼玉県坂戸市のブン動物病院で4年間の勤務医を務め、犬や猫、エキゾチックアニマルの診療に携わる。2016年からは東京都の小滝橋動物病院グループに勤務し、CTやMRI、心臓外科、脳神経外科を始めとした高度医療施設に身を置き、2019年からは同動物病院グループの市ヶ谷動物医療センターにてセンター長を務める。高度医療に携わりながら地域の中核病院として診療を行なった。2022年11月、東京都板橋区赤塚に成増どうぶつ病院を開院する。日本獣医循環器学会・日本獣医麻酔外科学会・獣医アトピー・アレルギー・免疫学会・日本獣医エキゾチック動物学会所属。特に循環器・呼吸器の診療を専門とし、心臓病についてのセミナー講師も行っている。