犬の疥癬について
犬疥癬とは、イヌセンコウヒゼンダニの角皮および糞便などの代謝物に対するアレルギー反応により起こる、非季節性の極めて強い痒みが特徴的な皮膚疾患です。虫体は表皮の角質層に寄生し、疥癬トンネルと呼ばれるトンネルを掘り排泄や産卵をします。
感染したわんちゃんは強い痒みのために脚で強く掻いたり、壁に体を擦りつけるため、ダニが広がりやすくなるのと同時に、細菌の二次感染を起こすこともあります。
犬の疥癬は「通常疥癬」と言い、非常に強いアレルギー反応は出るものの寄生数はわずかであることが多いです。(個体あたり数匹〜数十匹程度)そのため、検査での検出は非常に難しく試験的に治療せざるを得ない場合がほとんどです。
一方、ダニの生息数が数十万にものぼる感染形態を「角化型疥癬」と呼び、猫では多く見られます。
イヌセンコウヒゼンダニはイヌ科の動物でのみ繁殖可能ですが、稀に飼い主様への感染が認められることもあります。飼い主様も皮膚症状がある場合には病院へ行ってくださいね(動物病院ではなく人の病院です!)
症例紹介
今回ご紹介する症例は、1歳のパピヨンさんです。
四肢の痒みと赤みがみられました。ご飯中にも掻いてしまうほどの激しい痒みです。
前述の通り、犬疥癬は検出率の低い寄生虫ではありますが、今回の症例では皮膚掻爬検査によってイヌセンコウヒゼンダニが検出されました。
治療として駆虫薬を投薬し、2週間後には痒みはなくなったとのことでした。


まとめ
犬の疥癬は感染力が強く、他の犬と接触の多いドッグランや野生動物の死体や巣との接触で感染してしまう可能性があります。
感染しないためには予防が最も大切で、定期的に予防薬を投与してあげましょう。
万が一感染が疑われる場合や予防の始め方などお気軽に当院にご相談ください。
執筆担当:獣医師 菅原小櫻