犬の鉤虫症について

鉤虫とは犬科の消化管に寄生する寄生虫であり、経口・経皮・胎盤・経乳によって感染します。

成犬では無症状のことが多いですが、幼犬では犬鉤虫による吸血や腸壁からの出血により腹痛・下痢・貧血・削痩などの症状や、肺や肝臓に障害が出ることもあります。
診断は、便検査による虫卵の確認によって行われ、治療は駆虫薬によって行われます。

今回は犬鉤虫の感染が認められたワンちゃんの症例になります。

犬の鉤虫症の症例

症例は9歳のトイプードルで、食欲不振と軟便を繰り返すとのことで来院しました。
便検査をしたところ、犬鉤虫の卵が検出されました。

犬鉤虫の虫卵

一般的に成犬で症状が出にくい感染症ではありますが、室内飼いのワンちゃんではあまり感染する機会は少ないことと、寄生虫がいて良いことはないため、対症療法と犬鉤虫の駆虫を同時に行いました。

この様に、室内飼いでも予防を怠ると寄生虫に感染する機会は現在もあります。
最近のフィラリア予防薬には比較的広範囲の寄生虫感染を予防してくれるものがいくつかあります。

大事なワンちゃんを感染症から守るため、定期的な予防はしっかりしてあげてください。

執筆担当:院長 渦巻浩輔

この記事を書いた人

渦巻浩輔

2013年大学卒業後、埼玉県坂戸市のブン動物病院で4年間の勤務医を務め、犬や猫、エキゾチックアニマルの診療に携わる。2016年からは東京都の小滝橋動物病院グループに勤務し、CTやMRI、心臓外科、脳神経外科を始めとした高度医療施設に身を置き、2019年からは同動物病院グループの市ヶ谷動物医療センターにてセンター長を務める。高度医療に携わりながら地域の中核病院として診療を行なった。2022年11月、東京都板橋区赤塚に成増どうぶつ病院を開院する。日本獣医循環器学会・日本獣医麻酔外科学会・獣医アトピー・アレルギー・免疫学会・日本獣医エキゾチック動物学会所属。特に循環器・呼吸器の診療を専門とし、心臓病についてのセミナー講師も行っている。