モルモットの尿道閉塞について

モルモットは一般的に膀胱に結石ができやすいと言われています。
結石ができる理由には遺伝や年齢などさまざまな理由がありますが、一番原因として多いのは食餌からと言われています。
モルモットの結石はカルシウムが主成分なことが非常に多いです。
草食動物であるモルモットは、尿中に多くのこのカルシウムが排泄されます。
この草食動物であることに加え、飲水不足やカルシウムを多く含むアルファルファなどの牧草の過剰摂取が重なることよって結石ができてしまうことが多いです。
この結石が尿道に詰まってしまうと排尿が困難になり、急性腎障害を引き起こして死に至ります。
また、一度できてしまった結石は溶かすことができないため、食事内容に注意を払いながら予防することが非常に大事になります。

今回は、膀胱結石が尿道に詰まってしまい、手術を行ったモルモットさんをご紹介します。

膀胱腹壁造瘻術を行った尿道閉塞のモルモット

症例は1歳3ヶ月のモルモットさんで、ぐったりしているということで来院されました。

各種検査を行ったところ、結石が尿道に詰まってしまう尿道閉塞による急性腎不全と診断されました。

来院直後は立ち上がれないほどぐったりしており、発作も起こしていました。
レントゲン検査で尿道に結石が詰まっていることがわかりました。

一般的には尿道からカテーテルを入れて結石を膀胱に押し戻すことが望ましいですが、残念ながらモルモットさんは尿道が非常に細いため、押し戻すことができませんでした。

緊急処置として外から膀胱に針を刺して尿を抜く処置を3回行いましたが、やはり尿道閉塞を治すことは叶わず、手術を行うこととなりました。

本来は結石を摘出し手術を終了とするのですが、結石が重度にはまってしまっており、摘出することが困難だったため、 手術は膀胱腹壁造瘻術という、膀胱と体外をお腹を通じてつなげる方法を取りました。

中心の赤いところが膀胱とつながっている穴です。

手術は無事成功し、おしっこもちゃんと出るようになり、手術後に閉塞後利尿による多尿期のin/outの管理(腎臓を回復させるための点滴の量の管理)を行い、その後の状態はみるみる回復していきました。

手術後はとてもいい顔つきになってくれました!

モルモットの膀胱結石は今回の症例のように緊急の手術が必要になるケースがあります。 今回の症例は幸いなことに手術も成功し救命することができましたが、モルモットは全身麻酔のリスクも高く、手術をしても亡くなってしまうケースもあります。
モルモットの膀胱結石の最良の治療は結石ができないように予防することです。
また、モルモットの膀胱結石の一般的な症状は血尿や排尿時の疼痛です。
もしおうちのモルモットさんに血尿や排尿痛などありましたら、すぐに動物病院にご相談ください。

執筆担当:院長 渦巻浩輔

この記事を書いた人

渦巻浩輔

2013年大学卒業後、埼玉県坂戸市のブン動物病院で4年間の勤務医を務め、犬や猫、エキゾチックアニマルの診療に携わる。2016年からは東京都の小滝橋動物病院グループに勤務し、CTやMRI、心臓外科、脳神経外科を始めとした高度医療施設に身を置き、2019年からは同動物病院グループの市ヶ谷動物医療センターにてセンター長を務める。高度医療に携わりながら地域の中核病院として診療を行なった。2022年11月、東京都板橋区赤塚に成増どうぶつ病院を開院する。日本獣医循環器学会・日本獣医麻酔外科学会・獣医アトピー・アレルギー・免疫学会・日本獣医エキゾチック動物学会所属。特に循環器・呼吸器の診療を専門とし、心臓病についてのセミナー講師も行っている。